良かれと思ってたのが、逆効果⁉~譜読み編~

子どもがピアノの楽譜に書き込みをしている 練習見守り

いつまで練習に付き合うの?

ときどき生徒さんのお母様から、「一体いつになったら、ひとりで練習出来るようになるんでしょうか?」というため息まじりのご質問をいただくことがあります。
いつも温かく見守っていただき、ありがとうございます。ピアノの上達に、おうちでの練習は欠かせません。お母様のご苦労は痛いほどよくわかるのですが(小1の息子に学校の宿題をやらせるだけでも、我が家は大変です…)、楽譜が読めるようになるまでは、お子さんひとりでは練習にならないのも事実です。

読譜力が身に付いてくれば、レッスンのペースも上がりますし、お母様のご負担も減って良いことずくめ。私も毎回のレッスンで必ず時間を取って丁寧に指導しています。
残念ながら、これ‼という読譜力UPの近道はありません。が、近道どころか逆に遠回りになってしまうやり方があるんです。それは、

楽譜にカナを振ること

なんです。
確かに、面倒くさい!時間がない!という気持ちはよくわかります。ですが、楽譜にド・レ・ミ…とカナを振ってしまうと、一時しのぎにはなるかもしれませんが、音符そのものに全く目が行かなくなり、一向に読譜力が身に付かないんです。(↓お子さんの頭の中は、こんな感じです。)

何でカナを振ると読譜力が育たないの?

例えば『ミソレド』というカナを見た時、どう演奏しますか?カナを見ただけだと、どこで上がるのか下がるのか、音の高さがわかりませんね。(↓これ全部『ミソレド』です。『ミソレド』で3種類作ってみました。)

また、カナだけだと音の長さ(リズム)もわかりません。

もっと言えば、音を切らずなめらかに弾くのか(レガート)、一音ずつ音を切って弾くのか(スタカート)などなど、さまざまな情報が詰まっているのが楽譜なんです。

こんな情報量をたった五本の線と白黒の玉で表してしまうなんて、楽譜ってなんと合理的なんでしょう!

書いたカナをいっぺんに全部消すのは辛い…

とはいえ、カナを振る習慣がついてしまっていると、いきなり「すべてのカナを消しましょう!」となったら苦しいだけですよね。
お子さんの状況に応じて、次のようなステップで取り組んでみてはいかがでしょうか?

①五線からはみ出している(加線がある)音のみ、カナOK

②隣り合う音にはカナを振らず、跳躍した音だけにする

③フレーズの始まりの音だけ、カナを振る(音を点として見るのではなく、まとまりとして捉える)

④一度出てきたフレーズや音型にはカナを振らない(特に左手の和音や伴奏形など)

⑤覚えたところ(弾けるようになったところ)から、必ず消す

ピアノを弾くには、ト音記号とヘ音記号、両方マスターしなければなりませんが、『同時進行だと混乱しちゃう!』という場合には、まずト音記号だけがんばる、という進め方でも良いと思います。

譜読みの話をするたびに思い出すことがあります。中学生になり英語の授業が始まった時、先生から「英語が読めるようになりたかったら、とにかく教科書にカナを振らないこと!」と言われたんです。
読譜力を身に付けるということは、新しい言葉を学ぶ過程に似ているところがあるのかなと思います。
譜読みに苦戦している生徒さんには、「楽譜って世界共通言語なんだよ。アメリカ人、フランス人、中国人、話す言葉は違っても、みんな同じ楽譜を見て演奏するんだから!すごいと思わない?」と、ちょっと大きなことを言って励ましたりしています(笑)

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