音読にも共通する、音楽表現に必要なこと

音楽的なこと

こんにちは!入間市で子ども向けピアノ教室をしております、いいじまです。
お子さんがピアノを始めて数年が経つと、「楽譜も読めるし、曲も通して弾けるようになってきたけど、何か物足りない…」「そろそろ表現することも意識してほしい」と感じる時期があります。
実は、ピアノの学びには ”ステージごと” に大切にすべきポイントがあり、習い始めの頃と、中級に差し掛かる今とでは、アプローチも変わってくるのです。
今回の記事では、ピアノ歴5年目あたりのお子さんにとって、音楽表現を深めていくうえでとても大切な ”間” や ”流れ” を、音読との共通点からご紹介します♪

子どもの音読を聞いて、思い出したこと

最近、息子(小2)の音読の宿題を聞いていて、思うことがありました。
「正しく読めてはいるんだけど、何か聞きづらいんだよね。」
そういえば、私も自分のピアノ演奏について、学生の頃同じようなことを言われたことがあることを思い出しました。
専門の道を目指そうと、ソルフェージュ(音楽の基礎訓練)のレッスンを受け始めた時のことです。
ソルフェージュの先生に一曲聴いていただいたのですが、
「よく弾けてるんだけど、何か聴いてて疲れるのよね。」
と言われたのです。

しばらくして、その先生の生徒さんが歌のコンクールに挑戦するということで、私はその伴奏をさせてもらうことになりました。そこで、先生がおっしゃっていたことの意味に、やっと気づいたのです。
私のピアノには、音楽的な ”間” がなかったのです。
楽譜上には音符だけでなく休符も書かれていますから、もちろん音の切れ目はあります。でもこれだけでは、何か違和感のある演奏になってしまうんです。

正しい演奏≠音楽的な演奏

楽譜に書かれている通りに音符や休符の長さを守って弾けば、『正しい演奏』にはなります。でもこんな、メトロノームに合わせたような弾き方は、決して『良い演奏』ではないのです。言ってみれば、とても”機械的な”演奏です。

では、テンポをゆらして弾けば良いのか?そういうことではありません。あくまでも基本的なテンポはキープしつつ、大きなフレーズの終わりや、ガラッと雰囲気が変わるところなどに、適切な ”間” があることで、とても自然で音楽的な演奏になるんです(これが難しいんですけどね^^;)。音楽的な演奏というのは、つまりは『聴きやすい演奏』ということです。

ピアノという楽器は、演奏するのに息を使いませんよね。だからといって、息を詰めて弾くものでもありません。歌や管楽器と同じように、その音楽に合わせた息づかいをしながら弾くものなのです。
歌の伴奏をさせてもらえたことで、こんなに大切なことを実感させていただきました。ソルフェージュの先生は、私に足りないものを教えるために、伴奏という機会を与えてくださったのだと思います。

息子の音読が聞きづらいワケ

冒頭の息子の音読の話に戻りますが、確かに”正しく”は読めているんです。でも何だか苦しい…。そこで、一緒に読んでみることにしました。
すると、一文終わり、次の文へ入るタイミングが、必ず息子の方が早いんです。つまり ”間” の取り方が違うんです。間の取り方が違う、というより、彼の音読には『間がない』といった方が良いかもしれません。だから聞きづらかったのです。

「今お母さんは、教科書を見ながら聞いてるからいいんだけどさ、この読み方だと、もし教科書がなかったら、きっとお話の内容があまりよくわからないと思うんだよね。」
「どうして?」
「一文終わって、すぐ次の文が始まっちゃうと、文章の意味を頭の中で考える時間がないのよ。」
学校から配られた、音読の宿題を記録するカードに、「『。』のところは心の中で『1,2』と数えましょう。」とヒントが書かれています。
試してみると、前よりずいぶん聞きやすくなりました。が、心の中でとはいえ、数えながらだとさすがに少々不自然になってしまいますよね。

” 間 ” を感じるために、ご家庭でできること

ピアノの演奏でも同じことが言えます。” 間 ”を数値化することはできません。どこに、どのくらいの長さの” 間 ”が必要なのかは、さまざまな曲を経験して体得していくしかないのです。
その過程で、私たち講師の適切なアドバイスが大切なのはもちろんですが、ご家庭でも取り組んでいただける方法があります♪ まず、

CDなど参考となる音源を聴くこと

です。聴いてみたからといって、すぐに何かが変わるわけではありませんし、ただ何となく聴くだけでは、テンポの速い曲などは特に、「うわぁ、速~い!」という感想で終わってしまいがちです。
何かポイントを決めて、自分の弾き方とどのように違うのか、ということに意識を向けて聴くと、一つでも二つでも、気づきがあると思いますよ。
そしてその気づきを得るために必要なのが、

自分の演奏を録音してみる

ことなんです。自分ではそう弾いているつもりでも足りていなかったり、逆にやりすぎだったり。『自分のピアノは、こんなふうに聴こえているのか!』と自分の演奏を客観的に聴けるようになると、上達のスピードがグンと上がります。

音楽は、まず自分が楽しい、ということが第一です。そこからさらに一歩進んで、人に聴かせることを意識しながら演奏できたらステキですね。『自分の楽しみを人に伝える』~こんな想いが、演奏の表現力につながっていくのだと思います。
「自分の演奏なんて聴きたくない!」というお子さんも多いかと思いますが、たとえ簡単な曲でも、少し曲が仕上がってきたら、『録音して聴いてみる』。ぜひ一度試してみてください。きっと何かの気づきがあると思いますし、何より練習に”緊張感”が生まれますよ!

今回は中級のお子さん向けの内容でしたが、ピアノに限らず音楽を演奏するうえでとても大切なことを記事にしました。「うちの子はまだまだ…」という方でも、いつか来るその日のために、頭の片隅に入れておいてくださいね♪

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プロフィール
今の子ども達に『感じること』、『感じたことから、さらに自分で考えること』ができる環境を与えてあげたい…大手音楽教室のグループレッスンやピアノレッスン講師を経て、自身の教室を立ち上げるに至った想いをつづっています。
レッスン
累計150名以上の生徒さんとの関わりの中で見えてきた『つまづきやすいポイント』についてや、『練習方法へのアドバイス』を大切にレッスンしております。これからピアノを始めたいお子様はもちろん、レッスン経験のあるお子様もぜひご相談ください。
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