『部分練習』してますか?

ピアノを弾いている子ども 練習見守り

短時間で効率よく練習するには?

「ピアノは好きだけど、練習はイヤ~」
練習がはかどらなかった様子の生徒に聞いてみると、よくこんな答えが返ってきます。
そんな時私は、
「そうだよね~、先生も練習は好きじゃないよ。」と言っています。
「でも、先生だって練習しないと下手になっちゃうし、あの曲が弾きたい!とか、もっとステキに弾けるようになりたい!とか思うから、練習するんだよ。」
こんな風に話すと、先生でもそうなんだ、と子ども達も親近感が湧くようです。

小さいお子さんにとっては、遊びの時間も大切ですし、大きくなるにつれて勉強の時間も確保しなければなりません。そんな中でピアノの練習も…と考えると、『出来る限り短い時間で終わらせたい!』となりますよね。
効率よく練習するためのポイント、それは

『部分的に取り出して練習すること』

なんです。
なんだそれだけか…と思われるかもしれませんが、この部分練習にちゃんと取り組めていないお子さんも多いんです。お子さんって、とにかく最初から最後まで通して弾きたがりませんか?(笑)

通し練習より成果あり!『部分練習』

一曲の中には、はじめから難なく弾ける部分と、必ずつっかえてしまう部分がありますよね。

・4番と5番の指(薬指と小指)がスムーズに動かない
・手の形に問題がある
・姿勢が悪い
・音が跳躍する場合、鍵盤上での距離感がつかめていない
・指づかいが良くない
・両手で弾く時、左手に余裕がない


などなど、うまく弾けない原因はいろいろ考えられますが、それを見つけて取り除いていくのが練習です。そしてその練習方法を教えたり、一緒にやってみるのもレッスンの重要な役割だと考えています。

レッスンを始めたばかりの生徒さんの曲だと、4小節くらいで終わってしまうものも多いですが、たった4小節の中にも、部分的に取り出した方が良い箇所があるんです。
例えばこんなフレーズが出てきたとします。

まだレッスンを始めて間もない生徒さんにとっては、音がひとつ跳ぶ(ミーソ、ファーレ)だけでも大変ですし、5と4の指を使って弾くのも(ソーファ)思いどおりにいかない場合があります。

そこで、上の譜例のように赤と緑の○で囲ったところだけを取り出して、部分練習するんです。
このフレーズを最初から最後まで通して何回も弾く、という練習もありますが、それよりもスムーズに弾けない3~4音を取り出して何度か弾き、きれいに弾けるようになったところで前後とつなげていく方が、確実に成果が上がります。

がんばったら上手になったの積み重ね=生きる力

私は導入期の段階から、この部分練習を積極的にレッスンに取り入れています。確かに集中力は要りますが、生徒さん自身も『ちょっとがんばったら弾けちゃった!』という達成感が得られるので、また次の曲も挑戦しようという意欲につながっていくんですね。
ただこの部分練習を、そのままご家庭で再現していただくのは大変なので、「おうちでは、通して5回弾いてね」というような宿題にしています。部分練習が必要なところはレッスン内でやり、その積み重ねで練習の仕方を覚えていってもらうんです。

そのうちに曲が長くなってきて、すべての部分練習をレッスン内で扱えなくなってきますが、その頃には部分練習のもつ意味がわかっているので、「残りは宿題ね」と持ち帰らせても一人で取り組めるようになります。

ピアノの練習は根気が要りますし、面倒に感じることもあるでしょう。でも『がんばったら上手になった』という経験を積み重ねていくことは、子ども達の自信になりますし、その後の生きる力にもつながっていくのではないでしょうか。
もしご家庭で、お子さんが同じ箇所ばかり繰り返し練習していたら、それは通して弾きたい気持ちをグッとこらえて、上手になるためにがんばっているところです。温かく見守ってあげてくださいね。

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