練習見守り

「ピアノが両手で弾けない…」子どもがつまずく原因と、できるようになる練習法

練習見守り

こんにちは!入間市で子ども向けピアノ教室をしております、いいじまです。
今回は、お子さんのピアノについて

「両手で弾こうとすると上手く合わせられない」
「リズムが何だかぎこちない…」

そんなお悩みをお持ちの親御さんに、練習のヒントをお伝えしたいと思います♪

両手になるとなぜか弾けない

これは、私が大学を卒業してすぐ、グループレッスンの講師として働き始めたばかりの時に担当した、Hちゃん(小1)の話です。
前任の講師から引き継いだHちゃんのクラスは、グループレッスン3年目。両手で弾くことに慣れてきて、左手の伴奏に動きがある曲が増えてきたところです。とあるレパートリーをみんなで練習していました。片手ずつなら弾けるようになったかなと思い、両手奏に挑戦してみることにしたのです。
他の子たちがコツをつかんでいく中で、Hちゃんは上手くいきません。右手につられて左手のリズムがおかしくなってしまったり、逆に左手を意識すると右手のリズムがおかしくなってしまいます。
彼女も困った顔をしていたと思いますが、私もなぜなのか原因がわからずに悩んでしまいました。

正しいリズム

リズム譜

Hちゃんの弾き方(右手と左手のリズムが一緒になってしまいました)

リズム譜

Hちゃんの弾き方(右手が後ろに寄りすぎてしまいました)

リズム譜

生徒のつまずきが自分の学びへ

その時はHちゃんの手に私の手を重ねたりして、どうにか両手で弾けるようになったのですが、上手に教えられなかったことを今でも申し訳なく思っています。
ですがHちゃんのおかげで、私はとても大切なことに気づくことができました。それは、

”自分が弾けるだけでは、教えられない”ということです。

当たり前といえば当たり前のことなのですが、実際にHちゃんのような生徒を目の当たりにしてみないと実感できなかったのです。
音大では、より高度な演奏技術の習得や、音楽表現を深めることを目的にレッスンや授業が行われているので、指導方法(特に導入期)についての講義など、ほとんどありませんでした。
また、グループレッスンの講師になるにあたり、模擬レッスン形式の研修もたくさんありましたが、生徒役も同期の仲間です。理想的な生徒ばかりでした(笑)。
ですから、自分がつまずかなかった所については、教え方がわからなかったのです。

講師としてとても恥ずかしい状態だったことに気づき、そこから私は本を読んだり講座を受けたりして、自分なりに指導方法を研究していきました。
今、あの時のHちゃんにレッスンするなら、こんな方法を試してみるでしょう。

体でリズムを感じよう

リズムを声に出しながら、拍を手で打つ

リズム譜

拍を声に出して数えながら、手でメロディーのリズムを打つ

リズム譜

ひざの上、または机の上でリズムを打つ

リズム譜

逆のパターン

リズム譜

Hちゃんは片手ずつ弾けているようで、実はきちんと拍子(この曲の場合は3拍子)を感じられていなかったのだと思います。
ピアノだと、ついつい指の動きだけで何とか解決しようとしがちですが、口や手全体、時には足も使って体でリズムを感じられるようになると、鍵盤でもスムーズに表現できるようになります。

リズムに拍子感をプラスしよう

さらに、ただリズムを譜面どおりに打てた、という状態で終わらせるのではなく、拍子に合わせて『重みがかかる拍』と『軽やかに打つ拍』を意識できるところまで持っていけるといいですね。

リズム譜

この『重い拍』『軽い拍』のことを一般的には『強拍』『弱拍』と呼んだりしますが、音が強い・弱いという意味ではありません。
特に”弱い”という表現を使ってしまうと、鍵盤で弾く時に弱く弾こうとするあまり、音が抜けてしまうということが起こりやすくなります。
また、『重い』『軽い』も抽象的な表現なので、私は小さいお子さんとレッスンするときには『ぞうと犬』とか『くまと猫』など、よりイメージしやすいもので例えるように心がけています。

親子で悩んでいたMちゃんのケース

Hちゃんの件から10年くらい経ったころでしょうか、こんな生徒さんに出会いました。
Mちゃん(年長)は他の教室で1年半ほどピアノのレッスン経験があったのですが、お母様曰く「あまり上達を感じられなくて…」とのことで、私のところへやって来ました。(私はこの時、グループレッスンの講師から楽器店のピアノ講師になっていました。)
両手奏に挑戦している曲があるけれど上手くいかない、とお悩みだったので、まず今の状態を聴かせてもらいました。確かに、右手の細かい音のところでリズムが転んでしまいます。
お母様も子どもの頃ピアノを習っていたそうなのですが、ご自身ではこういった経験がなかったため、どう教えたらいいかわからず、イライラしながら練習を見ていたようです。

正しいリズム

リズム譜

Mちゃんの弾き方

リズム譜

私はMちゃんの演奏を聴いて、やはりリズムを体で感じられていないのかなと思い、先述のHちゃんのような 口や手を使ったリズム打ち練習をしてみました。
最初のうちは手に力が入ってしまい、上手くリズムに乗れませんでしたが、何度かやっているうちに軽やかにリズム打ちができるようになりました。
そこでもう一度鍵盤に戻って弾いてもらったところ、細かい音も転ぶことなく演奏できたのです。
Mちゃんも嬉しそうな顔をしていましたが、何よりお母様が驚かれていました。「あんなに家で練習してもできなかったのに…」と。

楽しく続けて「できた!」を積み重ねよう

このようなリズム打ち練習は、ピアノを始めたばかりの頃から 少しずつ取り入れていくのが効果的です。
以前、大人の生徒さん達にも「ちょっとリズムがぎこちないなぁ」「リズムに乗れていないなぁ」と感じるポイントで、このリズム打ち練習をしてもらったことがあります。案の定、「あれれ?」「難しい~!」と苦笑いの方 続出でした(^^;)

子どものピアノレッスン リズム打ちの様子

鍵盤とにらめっこするばかりがピアノの練習ではありません。時には、声や体を使って音楽を感じましょう!
このリズム打ち練習は、目の前にピアノがなくてもできますし、ちょっとしたすき間時間でも取り組むことができます。日ごろピアノの練習を見守ってくださっているお母様も、ぜひお子さんと一緒に遊び感覚でチャレンジしてみてください。体も頭も使って、良い気分転換になるかもしれませんよ♪

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プロフィール
今の子ども達に『感じること』、『感じたことから、さらに自分で考えること』ができる環境を与えてあげたい…大手音楽教室のグループレッスンやピアノレッスン講師を経て、自身の教室を立ち上げるに至った想いをつづっています。
レッスン
累計150名以上の生徒さんとの関わりの中で見えてきた『つまづきやすいポイント』についてや、『練習方法へのアドバイス』を大切にレッスンしております。これからピアノを始めたいお子様はもちろん、レッスン経験のあるお子様もぜひご相談ください。
教室について
お子様の性格や、ご家庭の状況もお伺いしながら、練習のサポート方法についてアドバイスさせていただきますので、音楽経験のないお母様もご安心ください。レッスン曜日のご案内や体験レッスンのお申し込みもこちらからどうぞ。